緑と大理石は素敵な空気を纏って空間をつくります。
クボ 健史
クボ健史 展覧会によせて
多くの彫刻が、あらかじめ定めた完成プランの実現であるのに対し、
クボの造形はいわば過程内創造のたまものだ、とおもう。
クボという作家にとって、トラバーチンやボテチーノなどの、いわゆる「石」は、
単なる素材の分類としての言葉ではない。
我々人間が、一人として同じではないように、ひとつひとつ違う時間、場所、異なる堆積物によ
って成り立った、唯一無二の存在であるところの石。いわば固有の人格をもっているかのような
石が、クボにとってのそれなのだ。
そして、それら石と向き合い、目と、手と、感触と、空気とコミットするなかで石のアイデンテ
ィティを見いだす行為の堆積として、クボの彫刻は生まれる。
石が、クボの作品として結実するまでの、一行為、一行為。
その瞬間、瞬間に見せる石の姿が秘めた、石のうぶな意思を、クボは掬い上げてゆくのだ。
ほかの誰でもない、クボ自身の美意識と、豊かな研鑽に根ざした技術によって。
その結果あらわれたかたちは、思慮深く、ときに繊細で、ときに凛と立ち、ときにどっしりと座
す。空間に、有機的な音を響かせながら其処に棲まうのだ。
わたしは、その心地よい空気に身を委ねるのが好きだ。今回も、その空間に身を置くのを楽しみにしている。 (姫路市立美術館 学芸員 本丸 生野)
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空気や雲や水。
花を「ぱっ」と出す手品って上手い人が
すると空気から花を生じさせてるように
見えるけど、クボさんの彫刻を観てると
空気や雲や水を両手でさあっと集めてきて
そのままその手で形を作ってるのでは。
と思う。
欠けた部分のある作品がとても好きになった。
ブログ フツーの毎日より抜粋